備忘録
2015年6月…、私は忘れない。
まさかこれが前兆だったとは。
久しぶりに実家に帰省して楽しい時間を過ごし、夜になって寝ようと布団に仰向けになった途端にそれはやって来た。右足爪先(下)からじわじわと足の付け根(上)までの前面がピーンとつって猛烈な激痛に襲われた。
「痛ったーーーいっ!」
思わず叫び声が出た。
妹と娘が驚いて足の付け根のリンパを揉んでくれた。
それから暫くなりを潜めていた症状だったが7月になり仕事中に左膝を骨挫傷し、ギプスを巻いた。
右足にかなりの負担がかかったのだろう。
その頃から右足のつりが頻繁に起こるようになる。
10月になると猛スピードで進行し1人では歩けなくなる。
この時私はまだ左足の怪我で右足を酷使したためだと思っていた。
病院では車椅子を借りないと診察にも行けない状態。
元々膝の変形症があったのでこのせいだと信じていた私は整形外科で右膝の人工関節置換術を決めた。
そして2015年11月手術。
「○○さん、終わりましたよー、わかりますか?」の言葉で意識が戻ったが、同時に手術した足がまたまたつって激痛・・・
ICUで「足がつって痛いですーーーっ!」と叫んでしまった
手術の傷の痛みなんて全く感じない別の激痛。
痛み止を入れてもらいながら一晩ICUで過ごす。
そのあと個室で1泊、翌日大部屋へ代わった。
看護師さんや執刀医が様子を見に来る度にドキッとして右足がつる…。
強張ったまま弛緩しない。
医師に伝えるが「あーこむら返りでしょ」の一言。
何故こんなに頻繁に起こるのか?
ベッドの頭をいつも起こして夜は座ったままうとうとする日が続く。
夜勤の看護師さんのラウンドの時、私を見て皆さんびっくりしておられた。
リハビリも始まったがベッドに仰向けになれない…。
機械を使って強制的に膝を曲げる(120°まで)リハビリも毎日2回。
仰向けになるので機械に固定された途端に激痛。
暴れるので機械ごとベッドから落ちそうになったことも。
度々ナースコールをした。
約1ヶ月ここにいて一向に好転しないままリハビリ病院への転院を勧められた。
(急性期の病院は1ヶ月しか置いてくれない)
家の近くの大きなリハビリ病院(今通所で通っている)へ転院した。
さてリハビリ病院では私専任のチームが組まれ(Dr.・PT・OT・看護師)3ヶ月のリハビリ生活が始まった。
Dr.以外は私の子供みたいに若い方。
理学療法の時には先ずはマッサージ、でもその最中にも右足はつる…。
揉みほぐしやっとほぐれた頃にまたつる。
歩くリハビリなどあまり出来なかった。
S先生は「○○さん、最初は楽勝だと思っていましたよ、でもこれは絶対に何かあると思います。」とおっしゃった。
作業療法ではお風呂の入り方を練習した。
畳の部屋に掃除機をかけたり…。
症状は様々だけれど多くの方々と励まし合いながら過ごした3ヶ月はとても懐かしい。
そして2016年3月退院・・・
不安だった。
この状態で、家で生活できるのだろうか?
そしてまたまた症状が悪くなる。
一旦横になると一人では起き上がれない。
子供2人で「リフト」という技で立たせてもらったことも度々。
寝返りすら打てない私。
もう椅子に座って過ごすしかない、絶望。
家族が仕事に出掛けると私1人で留守番。
退院から2週間ほど過ぎた4月4日、足がつりそのつりは更に上へやって来て胸までつって息が出来ず「うっ!!」とうずくまった。
初めての事だった。
それを娘は見ていて…出勤したものの早退してきてくれた。
「お母さん、病院行くよ!神経内科に!」
何故娘が神経内科を選んだのかわからない。
手術をした病院の神経内科、呼ばれて車椅子で診察室に入るとそこにいらしたのが今の担当医。
先生は苦しい息遣いでこれまでの症状を説明する私の話を一生懸命に聞いてくださった。
先生の足を何度も蹴飛ばした(足がつり)
一通り話を聞き終えた先生は「このまま入院しますか?」
「お願いします!」
正直ホッとした私。
病室の準備が出来るまで外来で看護師さんの迎えを待った。
さて病室へ着くと直ぐに2人の医師が来てくださり血管注射をされた。
ベッドに座っていた私に「はいちょっと立ってみて!」と。
な、な、なんと・・・すっと立ててびっくり。
多分セルシンだったのかと思います。
それから数日免疫治療の点滴が続いた。
副作用があって眠くなるらしいのですが、一年近くまともに眠っていなかった私には有り難かった。
治療方針の計画表を見せてもらった時に病名が書いてあった。
『スティッフパーソン症候群』
初めて聞く病名・・・
ネットで検索しても情報は少ない。
友人が調べてコピーしてくれたのが以前「拡散希望」で記事にしたものだった。
えっ、100万人に1人?
日本に数十人?
希少難病で難病指定されてない?
完治薬ない?
頭の中は真っ白。
奈落の底へ突き落とされた気分、絶望。
でも私は有り難いことにそれから足はつらなくなった。
あの激痛はなくなり、膝の痛みと歩行障害だけとなった。
でもスティッフパーソン症候群は進行性の難病…、すでにIDDM発症して4ヶ月。
出来るだけ進行が遅いほうがいいが、それは神のみぞ知る…
今やれることを今精一杯にやる事が希望です。
治験が必要になったらどうか私の身体を使って下さい。
似た症状があっても『スティッフパーソン症候群疑い』の方も多い。
研究が進み治療法が見つかる事を願うばかりです。