2016年に実施した患者会アンケート
過去の文献でも発症時年齢は 41.2 才との報告があります。1)
1)The clinical spectrum of anti-GAD antibody-positive patients with stiff-person
syndrome Neurorogy.2000 Nov 28;55(10);1531-5
現年齢も 2 極化しています。働き盛りの 40 代と 50 代が多くなっています。
指定難病にならないと身体障がい者総合支援法に該当しないので、必要な生活支援が受けられません。
既に身体障がい者手帳をお持ちの方は、受ける事が出来ます。
確定診断までの年数は 1 年未満と 3~5 年が多く見られました。
SPS についての診断基準が定まっていない事と、認知度、その患者さんの進
行具合にも影響していると思われます。
5 年も要した方についてはその間の数々の苦悩があった事と思われます。
診療科については整形外科が 4 割にのぼります。直ぐに神経内科に紹介され
たのか?その点についても次回以降確認のアンケートが必要だと思われます。
また整形外科医師への本疾患の啓蒙活動も必要です。
実際に社会保障を既に受けられている方は本アンケートでは 60%にのぼりま
した。40%の方は身体障がい者手帳の該当にならない状況なのか?申請時期が
満たないのか?modifid ranking scale でみると 1 名既に電動車椅子になって
いますが身体障がい者手帳を取得されていませんでした。
Mayo Clinic では 25 年間で 99 例の SPS 症例が報告されており、うち 67 例
(68%)が女性であったとの事です。本アンケートも同様の結果となっていま
す。
SPS が 16 名(80%)、PER が 1 名、未確定診断が 3 名いらっしゃいました。
社会保障無しで療養中の方が 2 名あり、継続勤務の方も 2 名は不定期勤務、
5 名は未だ軽症の段階のようです。
抗 GAD 抗体陽性率は 30%と低く、60%に認められるとされている状況との乖離が見ら
れます。本アンケートに重度者の参加が難しいのかもしれません。未だ知られていない抗
体や日本で検査できない検査、また健康保険が適応できない検査もあり個人負担で検査さ
れている方もいらっしゃいます。
日常生活の不自由さを表す標準的なスケールです。
呼吸状態の問題が少なからず存在し、継続的な評価が必要です。呼吸機能を
定期的に計測する必要はありそうです。Peek flow mater という簡易な検査で
も計測できますが、通常の病院であれば検査できます。主治医と相談してみる
事も良いかもしれません。
車椅子駆動の方がいらっしゃいますが、上肢の痙攣があり、体幹の硬直に影
響するのではないかと思われますが、社会保障を受けられていない方のようで、
電動車椅子を購入できない状況が推測されます。独歩可能な方が多かったの
はアンケートに未だ軽症者が多く参加されている状況を反映していると思われ
ます。
両下肢の強直、筋肉の痙攣、体幹の強直が最も多くの症例に見られています。
これは歩きにくさという症状で現れるため、整形外科受診への流れになるので
しょう。脊髄症と誤診されることも容易に考えられます。脊髄症との正確な鑑
別手段の提示も必要です。
PER や PERM の症例が少ないので呼吸機能の部分で少ない結果となってい
ます。意志伝達装置などの装具の処方や情報提供が進めば、もっと重度者のア
ンケート参加が可能かもしれません。